本棚を見ると、国語の実力がわかる
家庭教師として、これまでたくさんの家を訪問してきた。国語が得意か苦手かは、家の本棚を見るとおおよそ分かる。リビングの本棚に、科学、歴史、アートなどいろいろなジャンルの本が並んでいる家の子は、たいてい国語ができる。一方、リビングに本棚がなく、子供部屋の本棚に童話やライトノベルしか並んでいない家の子は、国語が苦手なことが多い。
よく「読書は好きなのに、国語の成績が上がらない」という相談を受ける。活字アレルギーではないのに、なぜ成績が伸びないのかと不思議に思う親は少なくない。確かに、本を読むことに慣れ親しんでいると、活字に対する拒否反応はないかもしれない。しかし、それと国語のテストで点が取れるかどうかは別問題だ。
「読書好き」な子の盲点
本を読むのは好きだけれど、国語の成績がいまひとつという子は、ストーリーを追う読み方をしている。例えば、「ハリー・ポッター」シリーズが好きという子に多いのが、目まぐるしく変わる“出来事”だけを早く知りたがり、場面の情景や登場人物の心の変化を飛ばして読んでしまうこと。こういう読み方に慣れてしまうと、物語の内容が分かっているようで、細部に注意力が働かない。
ところが、テストや入試では、物語の場面情景や人物の心の機微が問われる。すると、ストーリーを追う読み方をしている子は、よく分からず、自分の気持ちに当てはめて答えたり、見当違いな答えを書いてしまったりする。
国語のテストとは、設問に対し答えるものだ。まず設問を綿密に読み、その後、例えば線が引かれているところについて質問されているのなら、線が引かれているその前後を綿密に読まなければならない。つまり、同じ文章を読むのでも、読み方が違うのだ。