中学受験で難関校に入ったのに、ズルズルと成績を下げてしまう子がいる。プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康さんは「親の言うことを聞いてきた“いい子”ほど、自分で勉強する方法を知らない。中学生になったからといって、いきなり目を離さないほうがいい」という——。
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入学後に危ない「いい子」

中学受験の入試は短期戦だ。首都圏では2月1日にピークを迎え、よほど苦戦しない限り3日で終結する。小学校生活の半分を受験勉強に費やしてきたのに、いざ入試が始まるとあっけなく終わる。

中学受験の最終目標は、志望校に合格することだ。第一志望校に合格できれば、大喜びだろう。だが、浮かれている状態をいつまでも続けていいわけではない。なぜなら、入学後、学校の勉強についていけずドロップアウトしてしまう子もいるからだ。

中学受験は子どもがまだ幼いため、親のサポートが不可欠。そう聞くと多くの親は「私がこの子を引っ張っていかなければ」と肩に力が入り、あれこれと指示を出すようになる。実際、中学受験に求められる勉強量は膨大かつ難解で、子どもだけで進めていくのは難しい。そのため多くの子どもは、塾や親からの指示に従って勉強を進めていくことになる。

親の立場からすれば、言われた通りに勉強をする子は扱いやすく、

「いつになったら勉強を始めるの?」
「今からやろうと思ってたのに……」
「やる気はあるの?」
「うるさいなぁ~」

といった、不毛なバトルを繰り広げずにすむ。

だが、小学生時代に言われたことを素直にやってきた「いい子」ほど、中学に入ってから伸び悩んでしまうことが多いのだ。