1学期末の定期テストで成績が下がる子たち

中学校に入学すると、最初にあるのが1学期の中間テストだ。中学生としての授業が始まってまだ2カ月もたたないうちに実施されるため、それほど難しい問題が出されることはない。中学受験が終わった開放感から勉強に対するやる気が低下しても、中学受験で蓄えた学力の貯蓄で高得点を取ってしまう子もいる。そういう子は、「なんだ、この程度のレベルか」と甘く見て、努力をしなくなる。しかし、2学期の定期テストになると事態が変わってくる。勉強をしない子は確実に成績が下がる。

また、それなりに勉強をしたけれど、成績が下がってしまう子もいる。そういう子は、今の勉強のやり方が間違っていることが考えられる。例えば算数から数学へ変わったところの理解ができていない、英語の暗記の仕方がわからないなど、何かしらの原因がある。まずは、その原因を探り、改善することが先決だ。

ところが、中学受験では塾を中心とした勉強を進めてきたため、塾ナシの生活に不安を抱く親がいる。そういう親は、子どもの成績がちょっと下がっただけで、慌てて塾に入れる。そして、塾にさえ入れておけば安心と思い込む。しかし、私はそれには反対だ。まずは原因を探り、試行錯誤して改善していく経験をさせてほしい。なぜうまくいかなかったのか。すぐに手放さず、中1の夏までは親も一緒に考えてほしい。ある程度、子ども自身で考えられるようになったら、少しずつ距離を離し見守るスタンスに変えていく。それが理想の自立の促し方だと感じている。

「入学時の順位=大学進学実績」ではない

受験には合否がある。しかし、成長発達の途中にある小学生が挑む中学受験は、子どもの成熟度や当日のメンタルによって左右されることが多い。合格は当日のテストの出来を輪切りにしたものにすぎない。多くの子がボーダー付近で合格をしている。そして、多くの子がほんのわずかな差で不合格になっている。

補欠で合格したからといって、気にする必要はない。補欠の子は自分がギリギリで合格をしたことを知っているから、入学後の謙虚な気持ちで頑張り、伸びていく子が多い。

中学受験では第一志望に合格できず、第二志望、第三志望に進学する子は少なくない。御三家の滑り止めにあたる上位男子校では、入学時の子どもたちの会話が「俺は開成が第一志望だったんだけどさ~」と、受験校自慢になることがある。残念ながらそういう子は、言い訳をするクセがついているので、努力を嫌い伸び悩む。

おもしろいことに、どの学校も入学時の成績順位と大学進学の結果はあまり関係しないという。補欠合格の子が、入学時からコツコツ頑張り、東大に現役合格することもある。一方、中学受験では第二志望の大学附属校に進学し、余裕でスタートしたはずが、その後、努力を怠り附属校なのに進学ができないこともある。