塾と家庭教師、子供の学力を上げるにはどちらがいいのか。プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康さんは「ひとくちに家庭教師といっても、そのレベルはさまざまだ。何人もの講師を体験して、その結果、子供が『イマイチ』と言ったらやめたほうがいい」という——。
女教師と小学生
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「転ばぬ先の杖」と、低学年から塾に通わせる親たち

今、首都圏ではわが子の将来のために、多額のお金をつぎ込む親が増えている。就学前からピアノ、体操、水泳、ダンス、将棋、公文……と、1週間の予定が習い事でびっしりうまっている子も多い。また、低学年からの塾通いも増えている。そういう家庭に共通しているのは、「この子の将来のために」という親の愛情からくる失敗防御だ。

小学校に上がったら鉄棒ができないと、友達に笑われる。

運動会のかけっこでビリになったらかわいそう……。

わが子に悲しい思いはさせたくないから、今のうちに体操教室に行かせておこう。早く走れるようになるフォームを教えてもらおう。実際、首都圏にはそんな親の要望をかなえてくれる教室が存在するのだ。

近年、少子化にもかかわらず、首都圏では中学受験熱が高まっている。中学受験といえば、これまでは大手進学塾の受験カリキュラムがスタートする小3の2月から、4年生クラスに通うのが一般的だった。ところが最近は、難関校に強い塾の人気校舎に子供が殺到し、4年生クラスが狭き門となっている。そこで、小1や小2といった比較的入りやすい時期に、先に席を確保しておきたいと考える親が増えている。

また、中学受験の受験科目で最も重要といわれる算数を早いうちから得意にしておきたいと、中学受験のプレ教室にあたる算数単科の学習塾に通わせる親もいる。中学受験が盛んなエリアでは、こうした低学年向けの算数塾がいくつもできている。