「国語が苦手」という子にはどんな学習をさせればいいのか。プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康さんは「そういう子の親は、本人も言葉遣いがおかしかったり、本を読まなかったりすることが多い。まずは楽しそうに本を読む姿を子供に見せてほしい」という――。
夏休みの作文の宿題
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子供の国語力の基盤は、家庭内の会話

「うちの子、国語が苦手なんです。どうしたらいいですか?」

中学受験のカウンセリングで、国語の相談を受けることが多い。しかし、こうした漠然とした相談は、正直答えるのが難しい。

そこで、「どのような点でお困りですか?」と聞いてみると、「ちゃんと読みなさいって、言っているのに読まないんです!」と、とんちんかんな答えが返ってくる。こういう親は抽象的な問いが苦手なので、まずはこんな質問をしてみる。

「物語文と論説文のどちらが苦手なのですか?」
「記述問題と選択問題のどちらが苦手なのですか?」
「お子さんがちゃんと読んでいないことは、どんなことからわかりますか?」

こう問いかけると、ようやく本題に入れる。

中学受験の指導に関わるようになって40年以上。これまでたくさんの受験生の親から相談を受けてきた。そして、つくづく思うのは、「うちの子、国語が苦手なんです」と相談に来る親は、聞き下手か話し下手であることが多い。学生時代の成績はわからないけれど、自身が、自分の言語能力を伸ばそうとしていないんじゃないかと思うことが多々ある。

まず、「てにをは」ができていない。

「私 いつも 言っているんです」
「うちの子 ぜんぜん ダメなんです」

感情ばかりが先走り、「いつ」「誰が」「誰に」「何を」「どのように」のいくつもがすっぽり抜けている。こういう話し方をされると、困っている“核”を見つけるのに苦労する。また、同じことを何度もくり返して話す人も多い。では、どうしたら親の国語力は伸びるのだろうか。