ただし、野党間の足並みは乱れ始めている。国民民主党の玉木雄一郎代表は、他党に先がけて安倍氏との電話会談に応じている。枝野氏は、現行法で対応できるので新法は不要との立場。共産、社民の両党は反対することになりそうだ。野党の間にくさびを打ち込んだことは、安倍政権にとって好ましい展開といえる。

失地回復のパフォーマンスもしわ寄せは国民に

安倍政権は新型コロナ対応の初動に遅れ、国民からの厳しい目にさらされている。失地回復のために、根回しもないままに、小中高校などの全国一斉休校の要請や、中国、韓国からの入国制限の発表を行っていて、そのことにも批判が集まる。

そこで特措法を持ち出して野党を土俵に上げ、政府・与党の正当性を強調しようと考えているのではないか。

政治は権力闘争と密接不可分ではある。とはいえ、今回の新型コロナ対応問題は、国民の生命、安全に関わる話。もしパフォーマンスによって国民の健康が危機にさらされるとしたら聞き捨てならない話だ。

特措法は13日にも成立する方向となっている。しかし現行法を適用すれば、既に対策を講じることもできた。党利党略のために数日間の空白が生まれたと考えればこれは、背信と言われかねない。

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