食後の眠気を撃退する2つのポイント
一方で、「ランチをとると眠くなる」と悩んでいる方もいます。
実はこのメカニズムにも、自律神経が関わっています。午前中は交感神経が高いので、そのままの状態で、早食い、暴飲暴食、あるいは刺激の強いものを食べたりすると、交感神経がさらに高まります。
そして食べ物が胃の中で消化され始めると、今度は副交感神経が上がります。この上下が激しいので、自律神経のバランスが崩れてしまうのです。
このバランスが崩れた際、一定以上に副交感神経に針が振れてしまうと、副交感神経の作用で眠くなってしまうのです。つまり、自律神経のバランスを崩さないように食べれば、眠くなることはないのです。
ではどうするか。
ポイントは2つ。ひとつは、食事の前に1〜2杯の水を飲むこと。これによって、胃結腸反射が起こるので、腸が動き始め、あらかじめ副交感神経が高まります。もうひとつはゆっくり噛んで食べる。こうすることで、自律神経のバランスは乱れません。急に眠くなることもなくなるでしょう。
ただし、本当に眠い時は、思い切って「仮眠をとる」という方法もあります。
実は、仮眠の有効性は、科学的に証明されています。実際、アップルやマイクロソフト、グーグルのような世界をリードするグローバルカンパニーが、仕事の合間の「仮眠」を推奨しているほどです。
NASAも推奨する仕事の合間の「仮眠」
NASA(アメリカ航空宇宙局)が行った仮眠の実験です。宇宙飛行士に昼間26分間の仮眠をとらせたところ、認知能力が34%、注意力が54%も向上しました。これを受けて、NASAでも「仮眠」を取り入れたそうです。
台湾の小中学校では、「午休時間」という昼寝の時間が設けられていて、昼食後に30分間ほど、必ず寝るように規則で定められています。
これは台湾のオフィスにも広がっていて、ある調査だと台湾の9割のビジネスパーソンが、昼寝をしているそうです。
アメリカのハーバード大学の研究でも、睡眠不足が、短気、イライラ、集中力の欠如、不機嫌などを引き起こすことがわかっています。
つまり「眠い」と感じたら、無理をしないで仮眠をとることは「正解」なのです。最近は、企業でも睡眠時間を設けたり、仮眠室を社内に設置したりする動きが出てきました。
NASAは26分間ですが、わかりやすく「仮眠の目安は30分」と考えてください。それ以上は夜の睡眠リズムを崩しかねませんので、注意が必要です。