『孤独のグルメ』が早食い対策に

孤独のグルメ』(原作・久住昌之/作画・谷口ジロー)という漫画をご存じでしょうか。個人で輸入雑貨商を営んでいる井之頭五郎が、仕事の合間にふらりと立ち寄った飲食店で、ひとり食事をする様子を描いたグルメ漫画です。2012年1月から、松重豊さん主演でテレビドラマ化(テレビ東京系)され、すでにシーズン8を数える人気作となっています。

あのドラマを見たことがある人はわかると思いますが、松重豊さん演じる井之頭五郎は、食べながらずっと、心の声を呟き続けています。ほとんど、食の実況中継といっていいでしょう。

なぜ『孤独のグルメ』の話を唐突に持ち出したかと言えば、ここに、早食い対策の「答え」があるからです。

「ゆっくり味わって食べる」ことが大事だといっても、早食いに慣れている方にとっては、改善策がわからないかもしれません。でしたら、井之頭五郎になりきってください。

「さあ餃子が出てきた」
「今、箸で餃子ギョーザつかんだ」
「口の中に入れる」
「肉汁がジュワッと口の中に広がる」
「今、味わいながらんでいる」
「飲み込んだ」

こんなふうに自分のやっていることを、心の中で実況中継するのです。それによって「大事な食事中に考えても仕方がないこと」が消え去ります。さらに、実況中継することで、食べる速度も遅くなり、ひとつひとつをじっくり味わうことができます。

マインドフルネスの考え方にもつながる

これは、最近注目されている瞑想めいそう法「マインドフルネス」の考え方にも重なります。

マインドフルネスとは、端的に言えば、過去の後悔や未来への不安を手放し、「今、目の前にある現実」だけに集中し、心の安定を図る手法です。

例えば、瞑想中も「今していること=呼吸」に集中します。「今、鼻から息を吸っている」とか、「少しずつ、口から息を吐き出している」と、自分の目の前にあることに意識を向け、余計な雑念を排除します。

実況中継しながらの食事には同様の効果があるのです。

仏教で言うところの「三昧」ですね。雑念を離れ、心をひとつの対象に集中することを「三昧」と言いますが、ランチならばランチだけに集中するということです。

井之頭五郎があれほどおいしそうに食事をしているのは、食事だけに集中しているからだと言ってもいいかもしれません。