新型コロナと世界の航空業界

中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染が拡大している。感染拡大に伴い、世界全体で人の移動に支障が出ており航空業界に深刻な影響が出ている。一部の報道によると、1月下旬を基準とした場合、中国向けの航空便は日韓で50%程度、米国やタイで70%以上も削減された。航空旅客の減少は、航空業界の収益に打撃を与える最も重要なファクターの一つだ。また、旅行者の減少で、世界各国の観光や飲食、小売りなど幅広い影響が懸念される。

空港で体温チェック
写真=Avalon/時事通信フォト

新型肺炎の発生によって、中国で生産活動に重大な支障が生じている。中国を起点とするサプライチェーンの混乱から、生産活動が低下し航空貨物の取り扱いも大きく低下している。

2002年後半から2003年前半、重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生した当時、中国経済は10%近い成長を実現していた。一方、現在の中国は深刻な景気減速に直面しており、SARS発生時と異なり経済成長の限界を迎えている。新型肺炎が世界全体の景気に与える影響は軽視できない。航空各社の中国便の運航などがどのように推移するかは、今後の世界経済の展開を考える重要な材料の一つといえる。