訓練したハトが目標に誘導するミサイル

世界兵器史研究会『ざんねんな兵器図鑑』(KADOKAWA)

ハトは平和の象徴ですが、かつては軍隊の連絡用に伝書鳩が使われていたことがあるなど、決して戦争と無関係なわけではありません。

中には、ミサイルの誘導装置に使われそうになったハトたちもいました。アメリカの有名な動物心理学者バラス・F・スキナーは、ミサイルを目標へ誘導するための仕組みにカワラバトを使おうとしました。カワラバトといえば、公園などでよく見るいたって普通の鳥ですが、スキナーはそのハトたちを使って、スクリーンに表示されたターゲットをつつくように訓練させました。これをミサイルの中に組み込み、ハトがスクリーンをつつくとミサイルの軌道が変わるといった仕組みになっていました。

1940~50年代にかけて計画されていました。
イラスト=ハマダミノル
1940~50年代にかけて計画されていました。

この計画は「プロジェクト・ピジョン」と呼ばれて研究されましたが、途中で中止となりました。ミサイルに使う電子機器の開発が進んだので、わざわざハトを使う必要がなくなったからです。スキナーの手元に残ったのは、もう使い道のなくなったハト小屋と、40羽ほどの元気なカワラバトたちだけでした。

ニワトリが起爆装置を守る核地雷

冷戦まっただなかの1950年代、イギリスはブルーピーコック計画なるものを進めていました。ソ連のヨーロッパ攻撃に備えて、巨大な核地雷を当時の西ドイツに持ち込もうとしたのです。地上部隊の侵攻を察知したら、地中に核爆弾を埋めて起爆させるという計画でしたが、この起爆スイッチは寒さに弱く、イギリスはこの問題を解決するため驚くべき結論を出しました。それは、生きたニワトリを核地雷と一緒に埋めて保温材にするというものです。

なんでニワトリを使おうと思ったのか……
イラスト=ハマダミノル
なんでニワトリを使おうと思ったのか……

核地雷は埋めてから約一週間以内に爆発させるという設計で、その分のニワトリのエサも用意されることになっていました。それでも、よその国の国土に核爆弾を埋めるという行為は大問題ですし、爆発後の周辺への影響も甚大です。結局イギリスは、この計画を中止しました。

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