「憲法改正の大きな実験台と考えた方がいい」
1月28日の衆院予算委員会。質問に立った日本維新の会の馬場伸幸幹事長は、新型肺炎について加藤勝信厚生労働相らとの質疑をした後、憲法の緊急事態条項の問題を取り上げ、こう発言した。
「憲法改正問題の中でも自民党がイメージしている緊急事態条項は、国民が聞いてもよく分からない。新型コロナウイルスの感染拡大は、非常に良いお手本になる」
これを受けて安倍氏は「緊急事態条項の議論を含め、国会の憲法審査会の場において、与野党の枠を超えた議論が展開されることを期待する」と応じている。
また冒頭紹介した伊吹氏は、1月29日の参院予算委で国民民主党の森裕子氏が、指定感染症の施行日を早めるように求めたことを取り上げ「私たちもそう思う。しかし憲法がある限りは、個人の権利と自由を明記している。だから憲法改正の大きな実験台と考えた方がいい」と語っている。
発言に同調することで国民民主党との距離を縮めたい
安倍氏は、将来の改憲論議に向け、維新はもちろん、国民民主党とも「共闘」できると踏んでいて、秋波を送っている。
森氏が緊急事態条項について憲法改正論議を深める必要があると思って質問したとは思えないが、発言に同調することで国民民主党との距離を縮めようという思いがあるのは事実だろう。
国民民主党は国会召集前、立憲民主党との合流話が頓挫した。そのタイミングをみて野党共闘にくさびを打ち込むべく国民民主党にラブコールを送っているとすれば、それはそれで高等戦術といえるのだろう。