カフェインの排出には時間がかかる

また、1985年のアメリカの研究では、新生児の赤ちゃんとその母親を対象に、母親のカフェイン摂取量と赤ちゃんの血中カフェイン濃度を調べています。母親は最初の5日間に1日750ミリグラムのカフェインを摂取し、次の4日間はカフェインを摂取しないようにしました。すると、母親がカフェインを5日連続で摂取した後の母乳中のカフェイン量は、最も低い母親では検出できない量で、最も高い場合で28.6マイクログラムでした。また、赤ちゃんの血中のカフェイン濃度は、最も高い子でも1ミリリットルあたり3.2マイクログラムでした。その後4日間カフェインを摂取しないと、母乳中のカフェイン量は検出できないくらいに下がりましたが、2人の赤ちゃんでは、5日目と変わらないくらいの量のカフェインが血中から検出されました。月齢の低い赤ちゃんでは、一度カフェインを摂取すると、排出に何日も時間がかかることがあるということです。

赤ちゃんへの影響はごく小さい

しかし、750ミリグラムとか500ミリグラムというのは、コーヒー5〜9杯分とかなり多い量です。もっと少ない量だと、どうなるでしょうか。

1979年のアメリカの研究では、母親が150ミリグラムのカフェインを摂取すると、その30分後には母乳中のカフェイン濃度は1ミリリットルあたり1.1〜2.3マイクログラムになることを示しています。コーヒー1杯のカフェイン量が90ミリグラム程度なので、コーヒーを飲んだ後の母乳中のカフェイン量として、かなり実際に近い数字だと考えられます。この研究では赤ちゃんの血中カフェイン濃度は調べられていませんが、体重5キロの赤ちゃんが母乳200ミリリットルを飲んでも、摂取するカフェインの量は体重1キログラムあたり0.08ミリグラムとなります。これは、体重50キロの大人がコーヒー1杯分のカフェインを摂取した場合の、20分の1程度です。体重あたりの割合で考えても、かなり少量といえるでしょう。