「旅客機を敵の巡航ミサイルと勘違いし、防空ミサイルで撃墜した」

イラン統合参謀本部は誤射した理由をこう説明している。

「イラン周辺で米軍戦闘機が増え、数機がイランに向かっているとの報告があった」
「アメリカが反撃してくるという恐れから、防空システム上の警戒レベルが最大になっていた」
「そこに旅客機が進行方向を変え、イラン革命防衛隊の重要な軍事基地に近づいてきた。旅客機を敵の巡航ミサイルと勘違いし、防空ミサイルで撃墜した」

これ以上の悲劇はないだろう。戦争の悲惨さを如実に物語っている。犠牲者の冥福を祈る。

イランのロハニ大統領は「許されない過ちだ。人的ミスだ。悲惨で許すことのできない間違いだった」として哀悼の意を表した。最高指導者のハメネイ師も「心から哀悼の意を表す」との声明を出した。

イランを追い込んだのはアメリカのトランプ大統領である

今回のイランによるウクライナの旅客機の誤射撃墜。一義的にはイランに責任がある。犠牲者や関係者に対する補償などはすべてイランが負うべきだ。

しかしアメリカの責任は甚大だ。「殉教者スレイマニ」との作戦名を付けてアメリカの基地を攻撃するまでイランを追い込んだのは、他ならぬアメリカのトランプ大統領である。ましてやイランは内政が安定しない弱小国である。

スレイマニ司令官の殺害までの流れはこうだ。まず米軍の幹部から昨年12月28日にトランプ氏に示される。スレイマニ氏の殺害は、アメリカ軍の駐留するイラク北部の基地が27日に攻撃を受け、複数のアメリカ人が死傷したことに対する対応を検討するなかで、いくつかの選択肢のうちの1つとして提示された。