「極度の緊張状態」を生み出した責任は米国にもある
次に1月11日付の毎日新聞の社説を読んでみよう。
「イランは攻撃していた当時、米軍の反撃に備えて対空防衛システムを稼働させていたという。イランが誤って撃ち落とした可能性があるとトルドー氏は述べた」
「そうだとすれば、報復合戦を警戒する中での極度の緊張状態が不測の事態を招いたともいえる。そうした危険な状況を生み出した責任は、米国にもある」
「トルドー氏」とはカナダの首相のことで、旅客機には多数のイラン系カナダ人が搭乗していた。
「責任は米国にもある」との指摘は、前述した沙鴎一歩の主張でもある。最後に毎日社説はこう訴える。
「米国が反撃をせず一触即発の危険は沈静化したかにみえる。だが、イランでの反米感情は一段と強まり、米国も経済制裁を科すと表明するなど挑発を続けている」
「偶発的な衝突のリスクは消えていない。米国とイランはともに挑発を控え、外交的な解決に向けて事態の打開に取り組むのが急務だ」
「目には目を」と挑発や衝突を繰り返していると、いつかは本格的な戦争に突入する。それは歴史が証明している。ジャーナリズムの役目は、その危険性を訴え続けることだろう。