日本型雇用システムは今後どうなる? 韓国の後を追うのか
こうした韓国の動向は、決して「よその国の話」ではない。
日本は勤続年数の長さに象徴されるように、現在も新卒一括採用、年功賃金、終身雇用(長期雇用)を主な柱とする日本型雇用システムが維持されている。特に大企業ほど堅固である。
だが、経団連は来年の春闘で年功型の賃金など日本型雇用システムの再検討を会員企業に呼びかけることを春闘指針に盛り込む。
また、政府も12月19日に出した「全世代型社会保障検討会議中間報告」で「70歳までの就業機会確保による中高年の就労促進や、若年層の就労促進と新卒一括採用慣行の見直しの加速化を図る」と明記している。
経団連としては、現行の終身雇用と年功序列的な待遇が、AIやデータ分析にたけた優秀な若年層や海外人材の獲得を難しくしていることや、優秀な人材が海外に流出しかねないというのが理由だ。
政府も中途採用者を積極的に雇用することで雇用の流動性を高めたいという意向だ。優秀人材の確保と流出の防止は韓国企業の年功賃金の廃止理由とも重なる。
韓国企業が成果主義賃金の導入と中途採用を含む優秀な外国人人材の採用に踏み切ったのは、このままではグローバル競争に勝てないとの危機感があったからだ。しかし、その結果、終身雇用が崩れ、新卒一括採用が壊れてしまい、今も若者の就職難が続いている。
日本型雇用システムの見直しを打ち出した経団連が、その理由として「グローバル競争に勝てない」ことを挙げていることからも当時の韓国と共通する。
新卒一括採用を含む日本型雇用システムは今後どうなっていくのか。脆弱な転職市場という点では日本と韓国も変わらない。今の韓国の状況は日本の近い将来の姿を暗示しているようにも思える。長期雇用志向が強い日本の若者にとって不幸な結末にならないことを祈りたい。