勤続年数「1年未満」労働者の割合は、日本8%、韓国31.5%
一方、勤続年数はどうか。日本は10年以上が4割を超えており、勤続年数が長い傾向にある。日本以外で4割を超えるのはイタリア、フランス、ベルギーであり、ドイツ、オランダ、オーストリアも含めてヨーロッパ諸国は長い傾向にある。
これは平均勤続年数の推移を見ても明らかだ。
1992年から2013年の日本の平均勤続年数は12年前後で安定しているが、イタリア、フランス、ドイツは2000年初頭から長期勤続化が進み、2013年には日本と変わらない勤続年数になっている(OECD・Stats2014)。
極端に違うのがアメリカだ。勤続年数1年未満の割合が22.6%と高く、勤続10年以上の割合が28.9%と諸外国に比べて低い。さらに勤続20年以上になると、日本が22.1%もいるのに対し、アメリカは10.3%にすぎない。まさにアメリカが転職社会であることを裏付けている。
しかし、それ以上に驚くのが韓国の勤続年数だ。
1年未満が31.5%、10年以上が21.1%。明らかにアメリカの上をいく「転職社会」なのだ。
韓国といえば戦後、日本企業をお手本に、新卒一括採用と終身雇用、年功賃金を導入して経済発展を遂げ、今では1人当たりの名目GDPはアジアでは日本に次ぐ5位。日本の雇用慣行に最も近い国といわれた韓国だか、どうなってしまったのか。
なぜ韓国人は「短期」で辞めてしまうのか
韓国の顕著な変化を示すのは、新卒一括採用の崩壊だ。
大学卒の就職率はリーマンショック後に50%台に下がり、2人に1人しか正社員になれない状況に陥った。近年でも韓国の中央日報が分析した4年制一般大学の平均就職率は62.6%(2017年)で、90%超の日本の就職率を大きく下回っている。
しかも卒業しても就職が決まらない人が少なくない。卒業しても最初の仕事に就職するまでの平均所要期間は12カ月(男性14カ月、女性10カ月)となっている(韓国統計庁「経済活動人口調査青年層の付加調査」2017年)。
また、前述した韓国の勤続年数の低さとも関連するが、最初の就職先の平均勤続期間は19カ月にすぎない。
なぜ、短期で辞めてしまうのか。