【リスク4】米国大統領選の不確実が呼ぶ株安

11月に控える米国大統領選挙に対する不確実性も大きなリスクだろう。前回の大統領選のように、世論調査の信頼性が低下すれば、市場関係者は積極的なポジションを取りにくくなり、株安等を通じて米国経済に悪影響を及ぼす可能性がある。

中でも最大の注目は、ドナルド・トランプ大統領と民主党候補者の経済政策である。トランプ大統領の経済政策の特徴を勘案すれば、さらなる拡張的な財政政策への期待と保護主義的な通商政策の懸念が残る。

一方、民主党候補者の一人であるジョー・バイデン前副大統領はトランプ政権の保護主義を批判しており、通商面で不透明感が少ないと見られている。また、企業に対する規制に対しても前向きでない点が、金融市場にとってポジティブだろう。

しかし、同じ民主党候補者のエリザベス・ウォーレン上院議員は、反自由貿易主義で企業や高所得者への増税、企業への規制強化を打ち出しているため、民主党候補者が誰になるのかも金融市場の大きな焦点となろう。

日本経済への影響としては、米国基準では相当な左派のウォーレン上院議員が勝ち上がり、米国経済が大きく落ち込むことになれば、日本の経済成長率もかなり押し下げられることになるだろう。

また、トランプ大統領が再選を果たしたとしても、トランプ政権の政策運営もまたリスクとなろう。というのも、次の再選はないため、経済そっちのけで米中通商摩擦が激化することになれば、米国経済が景気後退に陥り、円高・株安を通じて日本経済にも悪影響が波及する可能性があるからだ。

【リスク5】年前半の好調がもたらす後半の株価調整リスク

2020年の相場環境については、トランプ大統領が再選を目指すべく、経済重視に政策がシフトすることが予想される。また、日本でも東京五輪特需が期待されることに加えて、中国が2010年比でGDPを倍増する目標期限年でもある。このため、世界のマネーがリスク資産に向かうリスクオン気味に推移するとの見方が強まれば、世界の株式市場の押し上げ圧力となる可能性がある。

ただし、年後半以降はこれらの重要イベント効果が剥落することが意識されるだろう。特に米国では、大統領次第で米中の覇権争いが再び激化することが懸念され、任期満了に近づく安倍首相が、経済政策後回しで憲法改正に邁進するリスクも警戒される。中国も、GDP倍増目標が射程圏に入れば、むしろ2021年以降は経済成長よりも痛みを伴う構造改革やデレバレッジに軸足を移す可能性もある。

こうしたことを先読みして、年後半はリスクオフに伴う株価の下落が金利低下・円高を後押しする展開になるかもしれない。

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