買い替えサイクルとも一致する期待のテレビ需要

中でも、五輪特需としてテレビの買い替えサイクルに伴う需要効果も大きいと推察される。内閣府の消費動向調査(2019年3月)によれば、テレビの平均使用年数は9.7年となっている。

小売業販売額指数の推移

テレビの販売は昨年10月の消費税率引き上げ前に、駆け込み需要で少し盛り上がったが、さらにさかのぼると、2009~2010年度にかけてはそれ以上に販売が盛り上がった。背景には、リーマンショック後の景気悪化を受けて、麻生政権下で家電エコポイント政策が打ち出されたことがある。これで自動車やエコポイントの対象となったテレビ、冷蔵庫、エアコンの駆け込み需要が発生しており、2020年はそこから数えて10年前後を経過していることなる。加えて、一昨年末から4K・8K放送が始まっていることなどもあり、その時に販売された家電の買い替え需要が期待される。

主要耐久消費財の平均使用年数

中でもテレビに関しては、2011年7月の地デジ化に向けて多くの世帯で買い替えが進んでから、買い替えサイクルの9年以上が経つため、買い替え需要はかなりあることが期待される。なお、2020年の東京五輪が実施されれば、日本人のレジャーや観光関連市場でも特需が発生する可能性が高いだろう。

まとめると、年の前半はオリンピックの好影響を受けて成長率が高く推移するものの、後半は減速し、外需の低迷もあり通してみれば経済成長率は0%台前半という比較的低い成長率にとどまるだろう。

ただし、好事魔多しともいわれる。そこで、オリンピック景気の背景にどんなリスクが潜んでいるのか、もしそのリスクが発現した場合に何が起こるのか。実現する可能性の高い順に点検してみたい。

【リスク1】五輪後の個人消費の大幅な落ち込み

2020年の消費を占う上では、家計の負担増といったリスクが潜んでいることには注意が必要だ。今年10月に引き上げられた消費増税については、軽減税率の負担軽減を加味しても、2019年対比で3兆5000億円の家計負担増となる。

しかし一方で、年金生活者に対する支援給付金により2019年対比で4000億円の負担軽減となる。また、消費増税の使い道として増収分の一部が10月から幼児・保育無償化に充当されており、2020年4月から大学無償化へも充当されることになっている。このことから、子育て世帯を中心に2019年対比で1兆2000億円の負担軽減になると計算される。

ただし、消費増税に伴う負担軽減の時限措置の多くが2020年に期限を迎える。例えば、プレミアム付き商品券と次世代住宅ポイントが3月までで終了する。また、キャッシュレスポイント還元も6月末に終了の予定である。さらに、自動車税環境性能割軽減も9月末で終了する。