コールド・ストーン・クリーマリーの日本本社は東京の港区三田にある。同社の「歌う朝礼」は毎朝、午前8時50分から10分間だ。全員参加ではなく、自由参加となっているので、出席しない社員もいる。

内容は、朝の挨拶、ストレッチ、今日のトピックの発表、コアバリューと呼ばれる社訓の唱和など、歌を除けば他社の朝礼と大した違いはない。

「歌はいちばん最後にやります。飲み会でやる一本締めみたいなもので、歌って朝礼を締めます」(本社の青木秀樹氏)

朝礼の雰囲気は和気あいあいだ。司会が「みなさん、おはようございます」と挨拶しただけで、出席者から「オー・イエー」とコンサートのような反応が返ってくる。若い社員が多いため、大学のサークルのような雰囲気となっている。

「歌う曲は店舗と同じもので、現在、レパートリーは50曲くらい。その日の気分に合わせて司会が曲を決める」という。

「歌う曲は店舗と同じもので、現在、レパートリーは50曲くらい。その日の気分に合わせて司会が曲を決める」という。

朝礼はテンポよく進み、最後に司会が「じゃあ、今日は『幸せなら手を叩こう』を歌いましょう」と言った。これまた出席者は「オー・イエー」と歓声を上げる。何をやっても、「オー・イエー」の会社なのである。

「朝礼で歌うのは歌唱力を高めるためではありません。朝から声を出すと、1日、元気で過ごすことができるんです」(青木氏)

青木氏の説明にもあったが、歌った後の従業員はさっぱりした顔をして、「さあ、やるぞ」と仕事に向かっていた。彼らは遊びで歌っているのではなく、自分自身を奮い立たせるために声を出しているのだ。同社の「歌う朝礼」は社員の活性化と社員同士に連帯感を持たせることに結びついているようだ。

世の中の大半の会社がやっている朝礼は「部課長の訓示」と「社内情報の伝達」で成り立っている。そうした会社の朝礼担当者は1度、コールド・ストーン・クリーマリーの朝礼を見学するといい。若手社員のやる気を高める一手段と思えばいい。

(尾関裕士=撮影)