JR飯田線をご存じだろうか。人の気配のない「秘境駅」が多い路線として、鉄道ファンの注目を集めている。特に春と秋に企画される観光列車「飯田線秘境駅号」は、毎回チケットが即完売している。意外な人気の秘密を、鉄道コラムニストの東香名子氏がリポートする――。
筆者撮影

「ポツンと」人気は一軒家だけではない

「秘境」がひそかなブームとなっている。日本各地の人里離れた場所に存在する住宅を紹介するテレビ番組『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系列)は、今月8日放送分の平均視聴率が18.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で好調だ。

ポツンとある家と同じく、ポツンと存在する駅にも人気が集まっている。駅周辺に人家や人の気配が全く感じられず、鉄道以外での到達が難しい駅は秘境駅と呼ばれ、年々愛好家が増えている。

そんな秘境駅ファンから熱視線を浴びる鉄道路線の一つがJR飯田線だ。豊橋駅(愛知県豊橋市)と辰野駅(長野県上伊那郡辰野町)を結ぶローカル線で、駅は全部で94駅もある。通して乗れば約6時間かかることから、鉄道ファンの間では“忍耐の路線”とも言われる。天竜川に沿って走る全195.7kmの間には、138のトンネル、379の橋を数える。

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愛知県、静岡県、長野県の山岳地帯を走る飯田線。この時期は紅葉も美しい

飯田線には秘境駅が多い。「秘境駅へ行こう!」などの著書を持つ鉄道愛好家の牛山隆信氏が、ホームページで発表している「秘境駅ランキング」2019年度版によれば、100位以内に飯田線の駅は8つもランクインしている。