それぞれの駅に降りて撮影や散策を楽しめる

途中の停車駅は、新城、柿平(186位)、東栄、大嵐、小和田(3位)、中井侍(13位)、伊那小沢(79位)、平岡、為栗(16位)、田本(6位)、金野(7位)、千代(25位)、天竜峡。(※順位は「秘境駅ランキング」による)。天竜峡まで豊橋運輸区の運転士が乗務し、そこから伊那松島運輸区の運転士と交代する。

それぞれの駅では、降りて撮影や散策等を楽しめるように停車時間を設けてある。走行中は飯田線を知り尽くした乗務員が、ユニークなアナウンスで沿線を紹介。景観の良い場所は徐行するので、シャッターチャンスを逃すことはない。

筆者撮影
ファンも多い小和田駅。人里離れた場所に、立派な木造駅舎を構える

停車する秘境駅は、一つひとつが個性的で、味わい深い。古い木造の立派な駅舎がある小和田、絶壁に細長いホームが張り付く田本、つり橋のかかる天竜川が目の前に広がる為栗など見どころは満載。金野や千代は駅看板に触ると運気がアップすると言われ、停車直後から看板には多くの人だかりができていた。

筆者撮影
金野駅の看板を触れば金運がアップ! 乗客たちはしっかり触り、手ごたえを感じている

停車する駅には、大嵐おおぞれ中井侍なかいさむらい為栗してぐりなど難読駅もある。筆者としては、ぜひとも駅看板を写真に収めて、後に周囲にクイズを出す楽しみ方を提案したい。

現地住民による伝統芸能のパフォーマンスも

飯田線秘境号は地域連携も魅力の一つ。一部の駅では住民たちのおもてなしが待っている。特産品の販売や、伝統芸能のパフォーマンスなど、あたたかい交流も可能だ。JR社員たちは、運行を前に地域住民とも打ち合わせを重ねている。

筆者撮影
平岡駅でのパフォーマンス。太鼓や笛の音、勇ましい男性の声があたりに鳴り響く。天龍村のゆるキャラ「おきよめっち」もお出迎え

車内のもてなしも手厚い。沿線マップや乗車証明書、今回新たに制作された秘境駅号「原寸大ヘッドマークシール」が配られた。シールは原寸大というところがミソである。手に取ると非常に大きくてリアルだ。鉄道ファンなら誰しも小躍りしたくなるだろう。

筆者撮影
ご当地グルメ「奥三河バーガー」を購入。米粉で作られたパンに、猪肉のメンチカツをはさむ。車内で食べるのも楽しみの一つ
筆者撮影
「ヘッドマークシールの楽しみ方は人それぞれ。冷蔵庫に貼ってもいい」と話すJR東海・運輸営業部の大谷直也さん