その結果、60のチームのうち25%に相当する15のチームをハイパフォーマンスチームとして特定したのだが、彼らは確かに生産性、顧客満足度、上司や部下、同僚からの社内評価という3つの主要な経営指標においても高得点をマークした。さらにこれらのチームについてポジティブ感情(P)とネガティブ感情(N)の割合を算出したところ、P:N=約6:1という、ポジティブ感情が際立つ形での比率が見られた(ただし、ポジティブ度が高ければ高いほどよいということはなく、あまりに高い値では逆に障害が出る)。

ちなみにいずれの経営指標でも低い得点を見せた、全体の30%に相当する18のローパフォーマンスチームでは、ポジティブ感情比が1を割ってP:N=約0.75:1(ちなみに離婚に至る夫婦の場合はP=0.5)、そして経営指標の得点にばらつきが見られた残りの混合型チームにおいてはP:N=約2:1という比率が算出された。

図4:感情の分布とチーム成績
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図4:感情の分布とチーム成績

図4はロサダ博士がこのときの3タイプのパフォーマンスチームについて数学モデルを用いてグラフ化したものだ。P/N比を検討していくと、数学の世界では真実が美として表現されることを想起させられるかのような美しい蝶のような形が浮かび出る。結果的に、平均レベルで人間がうまく機能するためにはP:N=約3:1の割合を保つことが重要であることがこの研究から判明したのだが、社員がうまく機能するP/N比の実現を目指して、ポジティブ度を上は約3(またはそれ以上)から下は約1という「ロサダ・ゾーン」を目安にしての企業向けトレーニングが行われ、成果を挙げている。

今回はほんの一例に留まったが、現在のポジティブ心理学研究は、不況下の個人と組織に対する取り組みに集中している。

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