体のバランスを思えば、鍛えるべきは背筋
では、脂肪がついていない「痩せ型」はどうでしょう。背筋や腹筋が弱くなり、姿勢が前かがみになれば不調を招きます。内臓が圧迫されて胃腸が悪くなったり、肺が圧迫されて広がりにくく呼吸が浅くなりがちです。また、姿勢が崩れると骨盤まわりを支える筋肉が凝り固まり、血流が悪くなり、冷え症やむくみを引き起こします。
このように、もともとの骨盤や肋骨の形状に加え、体型の違いで歪みや痛みが出る部位、症状は変わってきます。
体に負荷をかけないようにするには、若いころからある程度の適正体重を維持することがなにより重要です。今、肥満を指摘されている人は食生活を見直し、適度な運動を取り入れて体重を減らすことを心がけてください。
それから、縮める筋肉である「屈筋」と、伸ばす筋肉である「伸筋」のバランスも大切です。たとえば、体を前に縮める腹筋は屈筋ですが、背中側にある脊柱起立筋などはそれに反して伸びているわけで、伸筋となります。人間の体は伸筋より屈筋のほうが強く、どうしても屈筋の力に引っ張られてしまいます。また、伸筋は年齢とともに衰えやすく、意識して鍛えないと屈筋とのバランスが保てなくなり、体がゆがみやすくなるのです。
筋トレで腹筋を鍛えて6つに割れたら見た目には格好いいですが、体のバランスを思えば、鍛えるべきは背筋です。
もう1つの大きなとらえ方として、体の表面を覆っている大きな筋肉を表層筋、骨にくっついている体の深いところにある筋肉を深層筋といいます。表層筋は動かそうと意識すれば動かせる随意筋ですが、深層筋には、意識しても動かすことができない不随意筋が多くあります。そして、表層筋が硬くなると、深層筋の動きが阻害され、筋肉が凝り固まって、体のバランスが悪くなってしまいます。
ラジオ体操やヨガでも、ストレッチでも構いませんので、表層筋を動かして体を柔らかく保ちましょう。
【結論】適正体重の維持と、屈筋と伸筋のバランスがカギ