取材当時、スターバックス コーヒー ジャパン弘前公園前店の入口には、手書き文字とイラストで「アップル クランブル パイ*」(480円+税)の黒板が置かれていた。店内には手書き文字・イラスト・写真で「おいしいアップルパイが届けられるまで…」の板書もあった。

*現在は販売終了

撮影=プレジデントオンライン編集部
「アップル クランブル パイ」の黒板。現在は販売を終了している

「アップル クランブル パイが発売されたのは8月31日で、『全店舗の中で販売数日本一になろう』と事前にチラシを配布するなど、パートナー全員で盛り上げました。そのかいもあり、初日の販売数は目標を大幅達成。全国1位になれました」(原さん)

原さんは「弘前では多くのカフェがアップルパイを出しており、お店ごとに違う味も楽しめます」と教えてくれた。弘前観光コンベンション協会が作成する「ガイドマップ」もある。スターバックスの「点」の活動を、「線」や「面」に広げると面白そうだ。

閑散期の冬こそ「もっと、もっと弘前」

弘前市の冬は厳しい。過去の年間気象情報によれば、平均して「弘前城 菊と紅葉まつり」終了直後の11月中旬から降雪が始まり、3月下旬まで降る日が多いようだ。

地元関係者は「また大変な季節が来たな」と思い、備えを進めるという。厳寒期の降雪の状況次第では外出も難しいが、一方でクリスマスや年末にかけて華やぐ時期でもある。

冬の季節は、カフェ関係者や観光業者が「のれそれ弘前」を考えてはいかがだろう。

「のれそれ」は津軽弁で「もっと、もっと」の意味もある。筆者は11年前、青森県三沢市にある「星野リゾート青森屋」(取材当時は「古牧温泉青森屋」)の記念式典を取材した際に、この言葉を知った。当時から星野リゾートは、破綻した施設の再生のために「のれそれ」というキーワードを掲げていた。この言葉を借りて、弘前流に活動をアレンジするのだ。

「冬だから」「寒いから」の思い込みが、必ずしも通じない時代でもある。例えば家庭用アイスクリームの売上高は、メーカーによっては「夏アイス65%:冬アイス35%」となり、年々「冬のアイスクリーム」の比率が高まっている。

最強カフェ・スタバとも連携して、本州最北端の青森県でさらに活性化すれば、日本の他の地方も勇気づけられるだろう。

撮影=プレジデントオンライン編集部
店内の様子
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