リブラの円滑な流通への懸念
これは、基本的なコンプライアンスや内部管理体制の欠如といわざるを得ない。その企業がSNSをプラットフォームに独自の暗号資産を発行し、ユーザーの資産状況などを手に入れる可能性がある。
そう考えるとリブラを用いることに抵抗感、不安を覚える人は少なくはないだろう。強制通用力を持つ法定通貨と同じようにリブラが世界に流通し、ドルや円に比肩する、あるいはそれに置き換わる存在になると想定することは難しい。
また、金融政策の効力維持などを目指し、法定通貨のデジタル化に取り組む国は増えている。経済規模の小さい新興国などでリブラが流通すると、金融政策の効果が発揮されづらくなる恐れもある。仮にリブラのより具体的なコンセプトがまとまったとしても、現時点で考えると、各国政府が本当にその流通を認めるか否かは不透明だろう。
このように、価値の安定性、発行・管理体制、流通の点においてリブラには課題が多い。フェイスブックのコンセプトの通りにリブラが流通する展開は想定しづらい。