アナウンサーの大先輩からの教え

【三宅】今、三田さんは報道番組を担当されていて、世論を二分するようなさまざまな出来事を伝える立場にいらっしゃいます。そのバランスといいますか、ニュースとの関わり方で難しさは感じませんか?

【三田】そうですね。そういった中で私は、周りの人の意見を尊重しながらも、自分の意見をしっかりと持って、芯がブレないように意識しています。

【三宅】そうですか。

【三田】はい。これは私の尊敬する大先輩の安藤優子さんから教わったことです。安藤さんとは4年間一緒に『直撃LIVEグッディ』をやらせていただいたのですが、「伝えるということはきれいな言葉でなめらかに話すことではなく、自分の思いをしっかりと持って『あなたに伝えたい』という気持ちを込めて語ることだ」と教えていただきました。「思いがあれば相手の心に響く言葉になるから、自分の信念をしっかりと持ってそれを相手に伝えたいという思いを大切にしなさい」と。

【三宅】素晴らしい教えですね。

【三田】はい。だからといって自分の意見を周りに強いるような態度ではやはり思いやりに欠けますから、周りの方の意見を引き出しつつ自分のなかに取り込み、自分の思いをしっかり持つということですね。アナウンサーとしては番組のバランスをとることがベースにあるのですが、そのなかでも自分の意見はブレないように、そしてその思いを伝えたいという気持ちを強く持ちながら、毎日番組に臨んでいます。

生放送で何を意識しているか

撮影=原 貴彦
イーオン社長の三宅義和氏

【三宅】では三田さんが英語でインタビューされるときなども、その人なりの意見を引き出す、ということは意識されているんですか?

【三田】しています。たとえば一流アスリートの方のお話を聞いて毎回思うのは、我流といいますか、自分なりの哲学をしっかりお持ちなんですね。

【三宅】そのとき三田さんの意見はぶつけられるんですか?

【三田】はい。一応頑張って事前に勉強させていただいて、私なりの意見も持ったうえでインタビューに挑むようにしています。毎回勉強させていただく形にはなりますが。

【三宅】そうでしたか。テレビを見られる方も、三田さんの思いを含め、いろいろな意見を聞いて、自分なりに考えるきっかけになるといいですね。単に世の中の流れに流されるのではなく。

【三田】そうですね。それを理想としています。

【三宅】最近はテレビよりもインターネットという人が多いですが、そんな中で報道番組の意義というものをどうお考えでしょう。

【三田】やはりリアルタイムで視聴者のみなさんと同じ時間を過ごすことができる、ということではないでしょうか。私は入社してからずっと生放送を担当していますが、生放送ならではの醍醐味は「世界の今」を感じられることです。そして心を通して一緒に物事を考えられるということが魅力だと思っています。少なくとも私はそれを意識しながら生放送に取り組んでいます。