イシュー解決の手立てになる

人の言ったことはすでにホワイトボードに書かれており、あるいは議事録がとられる会議ならますます書く必要もない。

宇田左近著『インディペンデント・シンキング』(KADOKAWA)

むしろ自分の意見のポジショニングや、今ある議論に対しての軸出しなどにメモを使う。議論に貢献するうえで有効なのは、今の議論のイシューが何であり、そのイシューを解決するにあたって正しい議論がなされているかどうか、メモを使って常にチェックしていくということだ。そして、その問題解決に貢献できる意見、あるいは視野が狭まっているときに大きく振るための意見とは何かなどを考える。その際、「そのために3つの重要なポイントは何か」などをメモ上で確認しておけば、だらだらした発言にならないだろう。何を言いたいのか途中でわからなくなったり、脱線したりすることもない。

あとはそのミーティングで得られた主要なことを自分の言葉で3つ程度に整理して書いておくこともある。それだけ見ればそのミーティングで誰が何を言っていたか、それぞれの発言の価値や貢献度合いも思い出すことができるはずだ。余談ながら、そのうち年齢とともに物忘れが激しくなったら、別の意味でメモは必須になるかもしれない。この場合、人の言ったことを忘れないようにということではなく、「自分の言ったこと」を書いておくことになろう。

そうでないと「あの人はいつも同じことを言う」という揶揄やゆの対象になってしまうからだ。メモは「人の言ったことを書きとめるのではなく、自分の言いたいことを整理するために使う」ものだが、もし「自分の言ったことを書かねばならなくなった」ら、引き際は近いのかもしれない。

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