自分らしさを生かしたリーダーシップ

最近研究が進むリーダーシップ論として「オーセンティック・リーダーシップ」があります。自分らしさを生かしたリーダーシップこそ、本物だという考え方です。これまでリーダーシップ論の世界では、トップダウン型、カリスマ型、サーバント型など、いくつものタイプが紹介されてきました。そのたびに自分もそうありたいと努力したマネジャーはたくさんいます。しかし実際には、カリスマ型にもサーバント型にもなりきれなかったマネジャーが大多数でしょう。「自分には何か欠けている」と感じた人は多いと思います。

シェル・シルヴァスタイン 著●主人公は、自分に欠けている部分を探す旅に出ます。不完全な自分に納得できなかったから。その旅の先にあるものとは──。(講談社)

それは『ぼくを探しに』の主人公と同じです。私がこの本に出合ったのは、大学で現役を引退したあとでした。読み進めるうちに「ああ、これは私だ」と感じたのをよく覚えています。自分に欠けている部分とどう向き合うか、自分の劣性をどう愛するか、という問題が見事に描かれていると感じました。

早大ラグビー部の主将になったとき、私は1年生から4年生までの部員約150人に毎月レポートを提出してもらっていました。その中には、私への不満、チームへの不満等、何でもいいから書いてもらいました。私のスタイルは、いわばファシリテーター型です。問題が起きたら「集まろうよ」と話し合いの場をつくり、みんなの意見を募る。自分で解決策を示してチームを引っ張ることはほとんどありません。それが私にとっては、自分らしいスタイルなのです。

もう1つ、リーダーとして気をつけているのは、自分を繕わず正直になること。もしマネジャーの役割が果たせなくて、部下から突き上げられているなと思ったら、「自分にはできない」と正直に認める。それで部下の信頼を失うことはありません。部下が信頼しないのは、嘘をついたりごまかしたりする上司。もちろん、開き直るのではありません。「これから努力して、みんなの期待に応える」という約束とセットです。弱みを伝え、強みを生かして組織を動かす。自身のリーダー像を追い求めてみてください。

▼“理想のリーダー像”を捨てる

(構成=Top communication)
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