ケアマネ不足で「介護難民」は全国で100万人単位に及ぶ可能性

失業したケアマネはどうなるのでしょうか。

「ケアマネの資格を持っていれば、いくらでも転職先はあります。老人ホームやデイサービスの事業所など、高齢者や介護関係の施設はどこも人手不足ですから、引く手あまたでしょう。また、ケアマネは既婚女性が多い職であり、これを機に引退を決断する人も多いのではないでしょうか。結果的に困るのは、その人が担当していた利用者さんです」(Iさん)

ケアマネが担当する利用者は「最大39人」となっています。それ以上の人数を担当することも不可能ではありませんが、増えた分は減算されて報酬につながらないだけでなく、仕事のキャパシティーを超えてしまうため事実上40人以上担当するのは難しいのです。

写真=iStock.com/akiyoko
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冒頭でケアマネをスポーツチームの監督に例えましたが、ケアマネが1人辞めることによって、30人以上の高齢の利用者が介護の頼みの綱である監督役を失い、サービスを受けられなくなる事態も発生してしまうわけです。全国規模でみれば、その数は10万人、100万人単位に及ぶのではないでしょうか。

「ともかく5年の経験が必要な主任ケアマネを置かなければならないという改正法の施行まで3年しか経過期間を見ないのはどう考えてもおかしい。このままでは法律が施行される2021年3月、在宅介護の家庭は大混乱に陥るはずです」(Tさん)

介護保険法の改正は3年おきです。介護業界では経過期間をもう3年延ばせないか、という働きかけをしていますが、結論は不透明とのこと。こうした事実をメディアはほとんど報じておらず、介護の現場でも大混乱に有効な対策を打てないまま、大きな問題が放置された状態です。

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