瞑想は、脳を意識的に休める
近年、アップルやグーグルが社員向けに行っている“心のエクササイズ”「マインドフルネス」の取り組みで注目を集める瞑想。これを30年ほど毎日続けているのが、A.T.カーニー日本法人会長の梅澤高明氏だ。
「タイミングは朝起きてすぐと夕方の2回。それぞれ20分ずつ。食事を摂る前にやっています」。梅澤氏の瞑想の手順は以下のとおりだ。
「椅子に寄りかかり、目を閉じて、体の力を抜きます。そして、長くゆっくり息を吸って、ゆっくり吐いていく。深呼吸を繰り返していくのです。朝は自宅で、夕方はオフィスで瞑想の時間を取ります」
今では「新幹線の移動中でも瞑想できるようになった」という梅澤氏の瞑想との出合いは、20代半ば。日産自動車に勤務し、北陸の自動車販売会社に出向していた頃だ。
「取引先の方から瞑想のセミナーに誘われたのがきっかけでした。インストラクターから教わったのは、頭の中にある考えを追い払おうとしたりはせず、いろいろなことを考えてもいいというやり方でした。『これならできそうだ』とすぐにやってみました」
始めてみるとすぐに3つの大きな効果を実感できたという。
「1つ目は自分の周りで起こっていることに敏感になれたということ。例えば、クライアントの感情の動きとか、購入のタイミングのサインを見逃さなくなりました。2つ目は頭の中を整理できるようになったこと。瞑想が終わったときに自分の『ToDoリスト』が整理されている実感があります。3つ目が体の疲れが取れること。ストレスの蓄積に敏感になったため、休息をしっかり取るようになりました」
精神科医の樺沢氏は瞑想のメリットを以下のように解説する。
「人間は起きている間は常に何かを考えている状態にあります。これをデフォルトモードネットワークと呼びますが、このときにも脳はエネルギーを消費しています。そのため、脳を意識的に休める必要があります。電車の中でぼーっとするだけでも脳の疲労は回復します。対して、電車内でずっとスマホをいじっていたら、その時間が奪われてしまうどころか、脳はさらに疲れてしまいます」
瞑想は、デフォルトモードネットワークの働きを下げ、脳の休息に非常に効果がある。
「ただ、瞑想というと少しハードルが高いと感じる人は、お昼休みの5~10分間を目をつぶることから始めてみてください。机にうつ伏せになって目を閉じるのでもよいでしょう。人間は情報の80%を視覚情報から得ています。そのため、体を効率的に休ませるには、目を休ませるのが合理的。そのため、無目的なダラダラスマホなどは最悪です」
(集計協力=mikuPR、アイランド・ブレイン、ネタもと、高橋史佳)