夫婦も家族も、期待するから裏切られる

どうして世の中の人が「孤独」を悪いものと思われているのか、まったくわからないんです。孤独は素晴らしいですよ。そう本で書いたり、お話しするとみなさんに驚かれるんですけれど、その反応に私のほうがびっくりしています。

私は、孤独を「孤高」という意味にとらえているんです。人によりかからない、個性的で、自由な生き方って、素敵でしょう? でも、世の中には孤独を「孤立」とか、例えば「孤食」というふうに悪いイメージで考える人が多い。でも、孤独は人間にとって当たり前のことだと思うんです。1人という意味を考えると、1人でいるということは、実は1人ではない。ほかの誰かがいるから、1人を感じることができる。群衆のなかでこそ、人は孤独を感じるんです。

パートナーや家族と暮らしていても、1人は1人。私にも45年共同生活をするつれあいがいますけれど、1度だって2人で一組だなんて考えたことはありません。1人と1人が、たまたま一緒にいるだけ。互いに自立して、私は私、あなたはあなたと尊重している。といっても、普段から悪口ばかり言い合っているのですけれど。

愛する夫や妻がいて、子どもが元気に育って、という「幸せな家族像」に、縛られすぎているんでしょうね。でもね、家族なんてやっかいなものですよ。血の繋がりがあるからと大切にする人がいますけれど、いいことばかりじゃない。むしろ、悩ましいことのほうが多いんじゃありませんか。テレビや新聞を見ていても、親が子どもを殺したり、子どもが親を殺したり、暗い事件が相次いでいます。戦後、殺人事件の数は一貫して減っているのに、唯一、家族による事件だけは増えている(※)。血は繋がっているけど、心は繋がっていない。それなのに、過剰に介入したり、依存したりする。そんな人間同士の病を現代は抱えているんだと思うんです。

※2016年に摘発された殺人事件のうち55%は親族間で発生している(警察庁調べ)