「孤独」を楽しみ、人生を謳歌する人がいる。彼、彼女たちは自らとどう向き合い、どう生きようとしているのか――。人生の楽しみ方を知る3人が述懐する。

なぜ人間は「孤独」を感じるのか?

人がなぜ孤独を感じるかっていうと、もともとバンド、つまり群れで生きているからなんだよね。ホモ・サピエンス、人間の歴史ってもともとは、家族があって、周りにもいくつか家族があって、50~100人の単位のバンドになって生きてきた。バンドから追い出されると生きられない。だから、本能的に孤独が怖いんだろうね。

早稲田大学名誉教授 池田清彦氏

同じ霊長類でもオランウータンは完全に孤独に生活している。1人で生活して、セックスをするときだけツガイになって、またすぐ別れちゃう。霊長類が枝分かれした歴史を見ると、オランウータンが分かれたのは1500万年前くらい。ゴリラが分かれたのが1000万年前、チンパンジーと分かれたのが700万年前。ゴリラもチンパンジーも、その後分かれたボノボも、みんな集団生活をしているわけ。

男女でいうと後天的な差、すなわち社会によってつくられた差は時代が進めばだんだんなくなっていくかもしれないけど、先天的な差は残る。遺伝子が違うといっても、まぁ、XXとXYくらいしか違わないから、大した差はないといえるんだけど、やっぱり生物として見ると、脳の作りが男女では多少違う。左脳と右脳をつなぐ脳梁が、男のほうが小さく女のほうが大きいんだよね。どういうことかというと、男って脳を片方ずつ使っている。論理的に考えるときは左、感情に任せて喧嘩しているときは右、というふうにね。対して、女は自由に左も右もいったりきたりする。男からすると、とりとめのない話をして、いきなり話が別のとこにいっているように感じる。男は1つの話に始末がつかないと次にいかない。女のほうが常に脳のいろんな部分を使って行動できるというわけ。

男女のどっちがいいっていうのはいえないんだけど、そういうふうに、割り切って考えて、思考が固くなっちゃう分、男のほうが孤独にがんじがらめになって悩んでしまうのかもしれないね。やっぱり男って1人になったとき弱いよな。女房が死んだら旦那もすぐ死んじゃうとか。孤独死するのも、圧倒的に男のほうが多いよね。男は仕事以外のコミュニティがない場合、そこを抜けちゃうと本当にやることがなくなるんだよな。だから家族がいないと孤独になっちゃう。女房のほうが地域的なつながりとか、ほかのコミュニティを持っていることが多くて、近所の人との間でも活躍の場があるんだよ。