生産性維持のため睡眠は確保すべし

アンケート結果が示すように、日本の経営者の一日の睡眠時間は7時間以下が89%と、サラリーマン全体よりも短い傾向にある。今回のアンケート結果では、ウエートトレーニングなどの運動や、サプリメントの摂取を習慣にしているにもかかわらず、睡眠時間は4時間と答える経営者が目立った。だが、これが社員の生産性低下をもたらしていると精神科医で、ベストセラー作家でもある樺沢紫苑氏は警鐘を鳴らす。

川口 俊●DeNA Games Tokyo社長 2013年、DeNAに入社。16年よりDeNA Games Tokyoのプランナーマネージャーを担当。企画部部長を経て、18年、DeNA Games Tokyoの社長に就任。

「睡眠時間が6時間以下の人は明らかに日中のパフォーマンスを下げています。睡眠と脳の関係を調べた研究によると、現代人の最低必要睡眠時間は7時間です。忙しいから睡眠を削るのではなく、忙しいからこそ睡眠をとり体を回復させるべきなのです」

そんな中、アンケートではアイケイ・飯田裕氏や、マツリカ・黒佐英司氏など、8時間以上を確保している経営者もいた。スマホゲームを開発するDeNA Games Tokyoの34歳の若手社長、川口俊氏も睡眠時間を大切している1人だ。

「毎日午前0時には布団に入っています。翌朝は午前8時半には起床して、10時前に業務を開始しています」

睡眠時間をたっぷり確保するようになって以来、生産性が向上したことを実感しているという川口氏。

「社長に就任する前の現場にいたときは、多忙を極めていたので、会議中に睡魔に襲われることもありました。8時間以上の睡眠を取るようになったら、それが一切なくなりました。それに、頭の回転が速くなり、会議では納得感がある意思決定をしやすくなったと感じます。頭の中がクリアな状態で思考できている感覚がありますね」

だが、社長という立場上、急に呼び出されることも多く、毎日一定の睡眠時間を確保するのは難しいのではないだろうか。

「トラブルが起きても社長以下で解決できるフローを作っているので急な対応は少なく、家ではゆっくり過ごせています。私の趣味は半身浴で、毎日40分くらいひとりで湯船に入っています。風呂からあがったら、マンガを読んでリラックスし、徐々に眠気が訪れるのを待ちます」

川口氏が睡眠時間を確保するようになったきっかけは、家族だ。

「子どもが2年半前に生まれて生活サイクルが一変したんです。それまでは家に帰ってもゲームやテレビを見て夜更かしをしていたのですが、子どもが寝ているので、うるさくできなくなりました(笑)」

ほかにも飲み会では、「翌日に酒が残るような、変な飲み方はやめ、終電までには帰ります」という。「子どものために」と思って取った行動が、結果として自身を健康にした形だ。ちなみに「社長に就いてから病欠はなし」だそうだ。

(集計協力=mikuPR、アイランド・ブレイン、ネタもと、高橋史佳)

樺沢紫苑
精神科医
1965年、札幌市生まれ。札幌医科大学卒。米・イリノイ大学への留学を経て樺沢心理学研究所を設立。著書に『学びを結果に変えるアウトプット大全』など多数。
 
(撮影=鈴木俊之、横溝浩孝)
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