レシピから開発した惣菜を3つの自社工場で量産

また、食品分野でも、イズミならではの強さを支える要素があります。それは、高級和牛などの精肉や地域に根ざした地場産品など、付加価値の高い品揃えに力を注いできたことです。

とくに、地場産品については、たとえばゆめタウン高松(香川県)では地元ブランドのトラウトサーモン「讃岐さーもん」を販売し、ゆめタウン筑紫野(福岡県)にはJAの協力のもと新鮮な地元野菜を揃えたコーナーを設けるなど、それぞれの地域で生まれ親しまれてきた肉、魚、野菜、果物を取り込んだ特色のある売場づくりが、お客さんからの熱い支持につながっているのです。

さらに、他のGMSと一線を画しているのが、惣菜です。出来合いのものを仕入れて並べるのではなく、お客さんの嗜好を見極めてレシピから開発した惣菜を自社工場で作って提供しているのです。

現在、工場は広島市内に2カ所、福岡県八女市に1カ所の計3工場が稼働しています。さらに、2020年完成を目指して、広島市内に新工場を建設しています。自社工場を持つことで、お客さんのニーズに寄り添った商品を提供できるとともに、いいものを安く提供するためのコストダウンを図ることも可能になります。

たとえば、食品工場では膨大な量の水が必要になりますが、広島市内の深川町にある工場では、地下水を利用することで、経費を大幅に削減することができました。

ライバル社さんも最近では「地場商品」に力を入れた品揃えをしていますが、イズミは最初からそれをやっていたわけです。

「地域一番店」になることが生き残りの条件

GMSとして生き残り、成長をつづけるための条件とはなんでしょうか?

それは、何よりもまず「地域一番店」になることだと考えます。

マーケットがある程度大きなエリアで最大規模の店を展開するというスケールメリットは、計り知れないものがあります。ここにきて百貨店の凋落が目立つようになってきたこともあり、もう「何でも屋」の時代は過ぎ去ったかのようにいわれていますが、衣食住すべてを扱い、ここに来れば何でも揃う、という利便性は、まだまだ訴求力があるはずです。

ただし、中途半端ではダメです。他店を圧倒する規模、スケールが不可欠です。

圧倒的に強い店舗を作るには、初期投資が重要となってきます。地域一番店を目指すのであれば、「この程度でいいだろう」という妥協は禁物で、立地、敷地面積、建物の規模などすべての面で、“地域で一番”にこだわりぬく必要があります。