既存店の売上高減少が続く総合スーパー
これからの時代、少子高齢化が進む中で、いかに地域の小売業におけるシェアを高めていくかがイズミにとっても大きなテーマになってきます。現在の業績は好調ですが、イズミの顧客の中心は主婦層、シニア層で、やはりお客さまの高齢化は進んでいきますから、今後は若い世代をどう取り込んでいくか、このあたりはヨーカ堂さんのお力をぜひお借りしたいところです。
イズミはおかげさまで、2018年度の連結ベースの営業利益額が350億円、営業利益率が4.8パーセントとGMS業界屈指の業績を収めるまでになりましたが、中国・四国・九州という限られたエリアで奮闘してきたに過ぎません。長らく先頭に立って戦後の流通業界を牽引してきたヨーカ堂さんとの協力関係を深めていくことは、イズミにとっても大きな意味があるのです。
ここ20年ほど、流通業界ではGMSの不振が続いています。
各社とも低迷から脱却しようとコストの見直しをしたり、店舗を統廃合したり、他業態の小売業と連携するなどして改善に取り組んでいます。その結果、2017年度は大手を中心に損益改善が進みましたが、全体として既存店の売上高減少に歯止めをかけるには至っておらず、今後も厳しい舵取りが迫られるだろうと新聞や雑誌などが報じています。
利益率が高いのは、「衣料品」が売れるから
不振の第一の理由として挙げられるのが、衣料品販売の低迷です。GMSといえば、「食品で集客し、衣料品で利益を確保する」、つまり、利幅は薄いがお客さんを呼べる食品を前面に出して店に来てもらい、利益率の高い衣料品で稼ぐ、というスタイルが一般的でした。しかし、これが通用しなくなってきている、というわけです。
一方、イズミの場合、2017年度の実績で見ると、営業利益は320億円(単体)でした。イオンリテールが118億円、イトーヨーカ堂が30億円、ユニーが179億円でしたので、業界屈指の業績を収めることができました。
営業収益対比の営業利益率を見ても、イオンが0.5パーセント、イトーヨーカドーが0.2パーセントだったのに対し、イズミは4.7パーセントに達しています。
GMS低迷の最大要因は衣料品の不振であるといわれていますが、イズミの場合、全体の利益の2割程度を衣料品で稼ぎ出しています。しかも、10億円以上の利益を上げている店舗が10店舗以上もあるのです。
衣料品を売るノウハウをもっていることが、イズミの大きな強みとなっているのです。他社にないノウハウを獲得できた背景には、イズミがもともと衣料問屋であったこと、そしてかつて高シェアを維持していた衣料ブランド「ポプラ」を展開していた経験が、やはり大きな要素としてあると思います。小売、問屋、製造という3つの事業を同時期に経験できたことは、今のイズミの競争力のベースになっているといえるのではないでしょうか。