いずれの主張も「衆院解散を避けるための方便」か

国民民主党側は、そのことを分かっているだけに内閣不信任決議案には腰が重い。提出に反対とは言わないまでも「政権交代後の政権構想をつくるのが先」「まずは衆院小選挙区の候補者調整を進めるべきだ」というような意見が続く。それなりに筋が通った話ではあるが、「衆院解散を避けるための方便」という側面が透けて見えるだけに説得力を欠く。

同党の原口一博国対委員長は5月28日の代議士会で「7条解散を考える会」の立ち上げを野党各党に打診する考え表明した。解散権を乱用すると指摘される安倍政権をチェックするという姿勢は野党としては正当な主張ではあるが、これも「解散は避けたい」という本音がのぞく。

野党が「党首討論」より「予算委員会」を求めるワケ

6月19日には党首討論も予定される。安倍晋三首相と枝野幸男立憲民主党代表の討論の中で、解散の流れができるという観測もあるが、国民民主党などからは党首討論の解散自体に反対する声がある。「時間が制限された党首討論よりも、長時間丁々発止の議論ができる予算委員会を優先させた方が実利がある」という論理だ。

ただし、党首討論の代わりに予算委が開かれる展開になった場合でも、安倍首相はその場で衆院解散を口にする可能性はある。「予算委員会」なら衆院解散は回避できると考えるのであれば、あまりにも短絡的であると指摘しておきたい。

内閣不信任決議案を巡る野党内のせめぎ合いは、先に紹介したように比較的高い支持率を維持する立憲民主党が前向きで、支持が低迷する国民民主党などは慎重だ。

ただ、それだけでなく、個々の議員の選挙区事情で、当選が見込める議員は前向きで、支持基盤が脆弱な議員は慎重という傾向がある。意見集約は難しい。