(1)成長のチャンスを与えよう
社員にとって、自分が昇進コースから外れていることに気づくことほどがっくりくることはない。ワイヤレス産業に調査データや情報を提供しているテレフィアでは、これを避けることがリテンションの最優先課題になっている。経営陣は約200人の社員について検討し、彼らの成長機会を探る会議を年3回開く。そこで、重要なポストの後任を見つけたり、昇進に関心のある者や暫定的なポストにつけてもよさそうな者を見きわめたりするのである。
「このプロセスのおかげで、経営陣は優秀な社員を昇進させる機会を継続的に見つけることができる。こうした検討会議がなければ、社内昇進や部署の垣根を越えた配置転換の候補者を見逃してしまうかもしれない」とシドニー・S・ゴーハム社長は語る。
社員の能力開発をさらに促進するために、社内のキャリア・パスや必要とされる能力に関する情報を、アクセスしやすいかたちで社員に提供すべきだと、ブランハムはアドバイスしている。
(2)絶えず経験を広げさせよう
直属の部下がスキルを高めるのを助け、彼らにより幅広い仕事をする権限を与えることで、彼らを会社に留めておこう。
たとえば、販売員や顧客サービス担当者など、最前線で働く社員は、顧客の問題をその場で解決する権限と資源を与えられたとき仕事に対してより大きな満足感を抱くということが、調査で明らかになっている。
「社員は主体性を発揮したい、自分の仕事を適切に遂行する権限を持ちたい、と思っている」と、フランクリン・コヴィー社の組織ソリューション事業部人事担当副社長、トッド・デイビスは言う。「私は他のマネジャーに、部下を信頼し、彼らのことをよく知ろう、と説いている。部下にミスをさせて、彼らを成長させようと、ね」。