(3)賞賛を形に表そう

報酬は社員が辞める最大の理由ではないものの、重要な要因になる可能性はある。「報酬に関する不満は、給与の額にも関係があるが、それに劣らず報酬に関する情報の伝え方や報酬の不平等にも関係がある」と、ブランハムは述べている。

そのため今では多くの企業が、基本給を職能ランクや勤続年数よりも価値の創造にリンクさせている。そうする際には、「価値」がどのように測られるのかをすべての社員に明確に伝えることが不可欠だ。

ほかの優れた方法としては、事業目標と連動させた変動給与で成果に報いることや、現場での表彰に報奨金をつけることなどが挙げられる。

社員に自分は高く評価されていると感じさせる方法には金銭をともなわないものもある。サンフランシスコのギャップ本社では、同社の中核的価値や望ましい行動を表す図が描かれたポストカードが廊下やオフィスに飾られている。

これらのカードは、ギャップが過去1年半にわたって実施してきた、誠実、敬意、率直さ、質の高さ、バランスを推進する非公式の表彰プログラムの一環である。

このプログラムは社員に社員を表彰させるもので、自分の部署であれ、他の部署であれ、同輩や上司や部下が望ましい行動をとったら、社員はそれを表彰することができる。たとえば、ギャップの前広報責任者、トリシア・リンクは、先だって部下の1人にチーム・ミーティングの場で「エクシード(卓越)」カード(「エクシード」は、「顧客や株主や他の社員を常に喜ばせ、驚嘆させていること」と定義されている)を手渡した。優れた仕事を人前で賛えることに加えて、「このプログラムは社員の日々の活動を会社の戦略に結びつける貴重な方法でもある」と、リンクは語っている。