1年後には1800億円の営業利益

稲盛さんの対話術を一言でいえば、誠実であるということである。成功を重ねた経営者であるにもかかわらず、自慢話をしたり、知識をひけらかすことは微塵もない。自分の思いを自分の言葉で伝えようと懸命に話す。反対意見であろうと、じっくりと耳を傾ける。そして努力を惜しまず、言葉と行動は常に一致している。

そのような稲盛さんを中心に強烈な一体感が生まれ、1年後には1800億円の営業利益を挙げ、12年9月にはJALは再上場を果たす。そのとき稲盛さんは「謙虚にして驕らず、さらに努力を」というメッセージを贈ったのである。

Q:聞き上手になったほうがよいか?
A:聞き役に徹してばかりでは信頼は得られない

大田嘉仁(おおた・よしひと)
JAL元会長補佐
1978年、京セラ入社。91年より京セラ創業者・稲盛和夫の秘書を務め、経営破綻に陥った日本航空(JAL)再建時は会長補佐を務めた。著書に『JALの奇跡』(致知出版社)。
(構成=岡村繁雄 撮影=石橋素幸、小倉和徳)
【関連記事】
アイリスオーヤマ社員が全然辞めないワケ
ファミマ社長"僕が筋トレバカである理由"
人を動かせない話し方「3つの共通点」
上野千鶴子の言葉力の原点はどこにあるか
FPが実践"飲み会やめたら人生が変わる"