川島小鳥の写真を見て、カップル撮影を開始

【田原】カップルの記念写真?

田原総一朗●1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。本連載を収録した『起業家のように考える。』(小社刊)ほか、『日本の戦争』など著書多数。

【駒下】そのころ写真家の川島小鳥さんが撮影したカップル写真を見る機会がありました。当時、“バカップル”って言葉があるくらいに人前でイチャイチャするカップルは邪魔者扱いされていたのですが、川島さんが撮ったカップル写真は本当に幸せそうで温かい。大学の友達カップルをこんなふうに撮ってあげたら喜んでもらえるかなと思って、僕も撮り始めました。

【田原】それが仕事になった?

【駒下】SNSやウェブサイトにアップしていたら話題になって、全国のカップルから「私たちもこんな写真を撮ってほしい」と依頼が来るようになりました。最初は個人で、撮影料5000円プラス交通費で撮っていました。でも、たとえば東京から依頼が来て、大阪から撮りに行くと交通費が往復で3万円もかかってしまう。撮影料より交通費のほうが高いのは、なんかもったいない気がして。そこで現地のカメラマン仲間とつながって代わりに行ってもらうように。それで法人化したという経緯です。

SNSとHPで、全国から撮影依頼が殺到

【田原】全国からって、どれくらい反応があったの?

【駒下】月に50件くらいあったと思います。当然、1人じゃさばききれない。

【田原】すごいね!

【駒下】「ラブグラフ」と名づけてサイトに公開したのが14年の1月。その2週間後にリクルートの方から「代官山のツタヤで写真展をやらないか」と声がかかりました。これに作品を30~40点出展して、さらにラブグラフの名前が広がりました。忙しくなったのはそこからですね。

【田原】カップルは普通、自分たちで撮ったり、その辺の人にシャッター押してもらうでしょ。どうして若い人は駒下さんに頼むのかな?

【駒下】自撮りって腕の長さで構図が決まるから、理想の写真がなかなか撮れないんです。一方、それまでプロのカメラマンに撮影してもらうのは、女性1人で、モデルさんのように撮るスタイルがほとんど。カップルを自然に撮るサービスは新しかったので、依頼が殺到したんじゃないでしょうか。