ビジョンと売上利益の拡大、どうバランスをとるか

【田原】なるほど。AIを活用するわけですか。

【駒下】カメラマンは撮影した画像に色味をつけるなどの加工を行いますが、将来はそれらのデータを機械学習させて、撮ってきた生データを突っ込めば、そのカメラマンらしい写真に自動で加工されて出てくるといったこともやってみたいですね。

【田原】駒下さんはビジョン先行で事業をやってきているけど、投資家の資金が増えてくると、利益を出すことや会社を大きくすることを求められるようになる。そこに葛藤はないですか?

【駒下】難しさはあります。でも、出資してくださる方たちの期待に応えたいという気持ちも強い。ビジネスとして確立させて持続可能なモデルをつくらなければいけないですね。

【田原】でも、ラブグラフは大きくしようと思っていなかったからユーザーにウケた。ここはどうですか?

【駒下】バランスだと思います。僕は、あくまでビジョンを追い求める。そして隣にビジネスをきちんとできる仲間がいて、事業を成長させていく。そこが今後の経営のポイントです。

田原さんから駒下さんへのメッセージ

駒下さんは、「人を喜ばせるために撮り始めたら仕事になって、事業として大きくなった」と言います。これはとても大事な視点だと思う。資本主義が欧米で失敗したのは、経営者が社会をよくするためではなく、利益追求を最優先の目的にしてしまったから。その結果、格差が広がってトランプ現象や英のEU離脱につながった。

駒下さんはいまのところ純粋に「世の中のため」と考えていて、その思いがサービスにも表れています。これからも同じ姿勢を貫けるかどうか。それができたら、いいモデルケースになると思います。

田原総一朗の遺言:「世の中のため」を貫き通せ!

(構成=村上 敬 撮影=松本昇大)
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