油も水も不要、さらに「ふた」も不要に
「大阪王将 たれ付餃子」は改良を重ね、11年に具材を全て国産にリニューアル。いわゆる中国産毒入り餃子事件によって、海外の安価な食材に対して消費者が持つ疑念を払拭し、安全安心をアピールした。
さらには、13年には油が要らない製品にリニューアル。調理の簡便性が向上すると共に、食後のにおいが気にならない加工を施したニンニクの使用を開始した。餃子は好きでもニンニクのにおいを気にして食べたがらない女性が多いが、購入を避けるバリアーを破った。
そして、14年8月「大阪王将 羽根つき餃子」を発売開始。“油いらず、水いらず”にかじを切った。しかし、羽根つき餃子を冷凍食品で出しているメーカーは当時珍しく、しかも油も水も不要で、フライパンで手軽に焼ける簡便な商品であることが受けて、人気が爆発。
そして、18年9月に“油いらず、水いらず”に加えて、今度は“フタいらず”の仕様にリニューアルした。
「焼き目が見えてうまく焼ける」
一般に家庭で餃子を焼くには、フライパンに油を敷き、水を加え、ふたをして過熱し、蒸し焼きにする。しかし、冷凍餃子の改良で、まず油が不要になり、水も不要になった。今、冷凍餃子の売り場では“油いらず、水いらず”は一般的だ。
そして、ついにふたまで不要になったのかと、業界に大きな衝撃を与えた。“フタいらず”は革命的な進化形冷凍餃子の発明であった。
「お客様からのアンケートで、ふたをしているとどこまで焼けているのか全く見えないので、ついつい焼き過ぎてしまったり、焼き目が薄いまま食卓に出してしまったり、うまく焼けないとの声が上がっていたのが開発のきっかけでした。ふたいらずにするまでには500回以上のテーブル試験を繰り返し、ようやく発売にこぎつけました」(イートアンド株式会社取締役常務執行役員 星野 創)。
ふたなしで焼けるようになって以来、顧客からは「焼き目が見えるようになって、うまく焼ける」と好評である。
そこで、イートアンドでは焼き肉のように卓上のホットプレート、屋外のバーベキューで餃子を焼いて楽しむパーティー、“ギョパ”を新たに提案している。ギョパは餃子パーティーの略称。今や餃子は技術革新により、並べただけで焼き上がる手軽な食品に変貌を遂げた。熟練した職人しか、餃子が最適に焼き上げられなかった時代は終わったのだ。