外食ブランドの知名度を活かす

冷凍食品市場では、多くのメーカーが外食の人気店の監修を受けるようになってきている。

例を挙げれば、マルハニチロの譚彦彬「赤坂璃宮」オーナーシェフ直伝「あおり炒めの焼豚炒飯」、ニッスイの「いきなり!ステーキ」監修「ビーフガーリックピラフ」、セブンプレミアムの「蒙古タンメン中本」店主白根誠監修「蒙古タンメン中本 汁なし麻辛麺」などの商品群である。

これは外食の冷凍食品への進出が加速しているとの見方もできるだろう。しかし、こうした商品はあくまで冷凍食品メーカーが主導しており、外食企業は監修という役割にとどまっている。イートアンドのように「大阪王将」ブランドの知名度を活かして、外食企業が冷凍食品の市場に本格的に取り組む展開は異例だ。

消費税増税でも成長のチャンスになる

今年10月に消費税が10%に値上げされると、食品の物販は8%に据え置かれる軽減税率の対象だが、外食は他の商品・サービスと同じく10%に値上げされる。同じ餃子でも、外食より小売のほうが有利だ。

多くの餃子専門店、中華料理店が軽減税率導入に戦々恐々なのに対して、「大阪王将」の場合、冷凍食品がここまで強ければ、外食から小売へとシフトする消費者が増えてもトータルでむしろ有利になる可能性が高い。さらなる成長のチャンスだ。

「今後は大阪王将のブランドを活かして、小籠包、焼売などといった中華の分野をどんどん強化して中華カテゴリー全体を盛り上げていきたいですね」と、星野氏は目を輝かせた。

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
ジャーナリスト
兵庫県西宮市出身。同志社大学法学部法律学科卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て角川春樹事務所編集者より、1997年にフリーとなる。ビジネス、飲食、流通など多くの分野で、執筆、編集を行っている。共著に『図解 新しいビジネスモデルの教科書』(洋泉社)、『図解 ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)、『バカ売れ法則大全』(SBクリエイティブ、行列研究所名義)など。
(写真=iStock.com)
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