「作文」の間違いを点検する

この水島による「作文」は、何から何までデマであり間違いである。引用内米印を1‐6の順番に点検していくと、

▼※1
そもそもこの「作文」の内容の根拠は、対馬在住の日本人からの伝聞に基づいていて何ら証拠になっていないということ

▼※2
韓国人が黒人に対して差別的だと言うが、仁川や金浦空港からソウル市内に入って仕事や観光をしたりする黒色人種は韓国に行けば分かるが、普通に存在する。また韓国内に於いて黒人に対する憎悪犯罪を少なくとも私は聞いたことがない。

▼※3
在日韓国人で帰化しているといっても、韓国語の読み書きができず、発声やヒヤリングもできない二世、三世はもはや大多数であり、彼らの生活様式は日本人のそれと何ら変わらない。

▼※4
そもそもなぜ、自社の携帯電話の加入を勧奨し、何億円も投じて放送されるテレビCMに、わざわざ「反日的復讐の隠されたメッセージ」をソフトバンク社が混入させるのか、意味が分からない。そんな迂遠な方法で日本を呪詛する意図を、たった数十秒のCMに込める意味は何なのか、全く合理的な説明や根拠がない。完全な妄想である。

▼※5
ソフトバンクは在日朝鮮韓国人に限り、モバイル料金を日本人より安くしている、という事実は存在していない。その代わり、KDDIやドコモと同様、身体障害者手帳、精神障害者手帳保有者に対して「ハート割り」を実施している。はからずも筆者はこれで月1,500円くらい安くしてもらっている。

▼※6
たしかに、韓国には「ケセッキ」という言葉がある。日本語に訳すと「犬野郎」という意味で、人を罵る言葉であることに違いはない。しかし、韓国の知人に尋ねたところ、「そのまま、日本で言う犬野郎と同じ意味です。それで殺されるとか侮辱とか、言い過ぎもいいところです」と苦笑いしていた。私も何度も渡韓経験があるが、日本と同じく韓国でも、他人に対する最大の侮辱は「死ね」とか「うんこ野郎」とかであろう。

何から何までオカルト的妄想、もはやSF

水島の、私個人がたたき斬るならば「妄想」と表現するべき、誤謬に満ちたこの「作文」が、「日本を侮辱する隠れた意図を有するものである」という被害者意識へと転換したかどうかは定かではない。どちらが鶏か卵か、今となっては判決のしようがないのだ。しかしこの「作文」は、この時代、すなわち2010年当時のネット右翼界隈に於けるソフトバンクへの態度(アティチュード)を端的に現しているモノとして最も興味深い考察であると言える。実際、この水島の虚妄に代表されるような「白い犬の妄想」は、概ね2008年頃を皮切りに概ね2011年頃まで、ネット上で大きく拡散していった。

孫正義=在日韓国人(帰化人)、その孫正義が経営するソフトバンク=反日という単純な図式のみが一人歩きし、巨大な妄想となってネット右翼界隈を席巻した。しかしこのソフトバンクCMは、この時期、長年にわたりCM好感度1位を独占していたのである。孫正義がこの数十秒のCMの中に仮に“「復讐」メッセージ”を混入したとして、実際には圧倒的多数の視聴者が、それとは裏腹にこのCMに手放しの好感を抱いているのである。そしてなぜ直球ではなく、サブリミナル的に「復讐のメッセージ」を巨額のCM費用を投じて投入するのか、その意味が皆目分からない。

そして「これは侮日CMである」とする根拠の全てが、直接韓国に渡韓した上での取材ではなく、繰り返すように「対馬在住の日本人から聞いた」という伝聞「のみ」に依拠しているのである。どうせ虚妄を吐くのなら、現地取材くらいしてはどうか。そもそも、世界で最も閉鎖的な「北朝鮮」の人民が、ソフトバンクのCMをどうやって入手し、嘲笑しているのか、なぜ対馬在住の市井の日本人が熟知しているのだろうか。何から何までオカルト的妄想であり、もはやSFの類いである。