デジタル情報だけでなく、具体的に目に見えるかたちで実際に体験するには、現実の展示に接するしかない。その意味で、万博というフォーマットの生命は終わっていない。

ハイテクだけでなく、世界各地のローカルフードなども、展示の目玉になりうる。

視覚や聴覚などの情報と異なり、味覚はデジタル化が難しい。どんなに説明しても、実際に味わってみなければわからない側面もある。

健康や長寿に対する関心の高まりもあって、世界のさまざまな食を体験してみたいという世間の需要は大きい。まだ商業ベースに乗っていない新しい食感、味覚を試すことに関心のある人は多いはずだ。

展示の仕方も、デジタルサイネージや、プロジェクションマッピングなど、最新の技術を用いて、また、来場者の動きや反応に合わせたインタラクティブな表現を試すなどして、わくわく感のある体験を演出できるはずである。

ドローン技術も25年までにはかなり進化しているだろう。万博会場の上をドローンが飛び交い、その映像を人々がスマートフォンで見て、共有するといった従来にない体験もできるだろう。

つまりは、「想像力」だけが限界。1970年の大阪万博とは異なる意味での未来感覚との出合いが、会場に待っていると予想する。

前回の万博との最大の違いの1つは、来場者がより多彩になることかもしれない。

日本だけでなく、近隣諸国や、さらに遠い国から、たくさんのお客さんがいらっしゃるだろう。一緒に「フェス」を楽しむような、そんな一体感が生まれたら嬉しい。

次回の大阪万博が、日本が未来感覚を取り戻すきっかけになることを望むのである。

(写真=時事通信フォト)
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