デジタルの世界と私たちの住む世界は違う

アップル、グーグル、アマゾンなどのICT(情報通信技術)企業が隆盛を極め、AI(人工知能)、IoTといったデジタル技術の発展が注目される中、「日本のものづくりは大丈夫か」と不安視する向きがあります。自動車を例に挙げれば、今後はEV(電気自動車)や全自動運転が一気に普及し、複雑な自動車組み立てラインも自動化され、日本のメーカーの優位性は失われてしまうのではないか、という危惧です。

テスラのイーロン・マスクCEOは電気自動車の量産に苦戦。(AFLO=写真)

しかし、物事はそう単純ではありません。デジタルの世界は、電子と論理で動く「重さのない世界」です。一方、私たちの住む世界は物理法則が働く「重さのある世界」です。

重さのある世界は、重さのない世界よりもはるかに複雑です。自動車の場合、1トンもの物体を時速100キロメートルで安全に走らせるために、戦闘機のそれをも上回る規模の組み込みソフトウエアが車載ネットワークでつながり、1000分の1秒単位で自動車を制御しています。