ジョブズが手本にしたナイキのブランド構築法
「ナイキ」といえば、多くのアスリートに支持され、人気のあるブランドだ。
ブランドの構築や、その維持において模範的な事例として広く注目されている。
スティーヴ・ジョブズ氏が、自分が創業したにもかかわらず、一時期追い出されていた「アップルコンピュータ」(その後「アップル」に改称)に復帰した際、真っ先に取り組んだのがブランドの再構築だった。
社内のミーティングで、ジョブズ氏はナイキがブランドとしていかにすぐれているかを熱弁する。
ナイキは「靴」という「コモディティ」(汎用品)を作っているのにもかかわらず、そのブランドは広く支持されている。なぜか? それは、ナイキが一貫して「アスリートに対するリスペクト」を示すことでコミュニケーションしているからだ。
それでは、アップルコンピュータはどんな会社なのか? コンピュータという「箱」を作る会社なのか? いや、違う。では、自分たちのブランドをどのように伝えればよいのか?
答えとしてジョブズ氏が提案したのが、「シンク・ディファレント」のコマーシャルだった。アルベルト・アインシュタインやボブ・ディラン、ジョン・レノン、パブロ・ピカソなど、既成の概念を破り、独創的な仕事で新しい道を切り開いた人たちの映像を用いて、「違う考え方をすること」(シンク・ディファレント)の大切さをアピールしたのだった。
結果として、キャンペーンは大反響を呼び、ジョブズ氏はアップルコンピュータのブランド再構築、そして経営の立て直しに成功する。その後の「iPhone」の発表に至る道筋はもはや歴史の一部である。