形ばかりの検証で幕引きを急いでいるのではないか
不正調査問題を追及する朝日社説は、攻撃のその手を緩めない。
2月8日付社説でも「統計不正検証 この態勢では不十分だ」との見出しを掲げ、真相解明のために政府が総務省に新たに発足させた検証チームをこう批判する。
「できるだけ大ごとにしたくない。そんな意識で、場当たり的に対応しているように見えてならない。検証態勢の根本的な見直しが必要だ」
「政府自体が真相究明に後ろ向きではないかと見られている時に、違う役所とはいえ、職員同士による検証にどこまで理解が得られるだろう。形ばかりの検証で幕引きを急いでいるのではないか、とみられないやり方を考えることが重要だ」
「根本的見直し」といい、「幕引きを急ぐ」といい、手厳しい批判の言葉が並ぶ。安倍首相を嫌う朝日社説は、とことん統計不正の問題を追及する気なのだ。
安倍政権批判を続ける朝日社説の絶好の攻撃材料
朝日社説は2月9日付けでも「統計不正審議 国会は責任を果たせ」(見出し)と主張する。
朝日社説は「統計不正問題をめぐる国会審議で、野党側が求めてきた厚生労働省の大西康之・前政策統括官の衆院予算委員会への招致が実現した」と書き出しながら、「大西氏の招致は真相究明の一歩に過ぎない。過去の経緯を知る当事者なども呼び、国会は引き続き解明に努めるべきだ」と訴える。
そのうえでこれまでの経緯を簡単に説明する。
「今回の統計不正が発覚したのは昨年12月13日、総務省の統計委員会が、毎月勤労統計で本来は全数調査のはずの大規模事業所のデータに不審点があることを指摘したことがきっかけだ」
「厚労省の統計部門の責任者だった大西氏は、この時期に不正を把握し、5日後に次官級の幹部らに報告したことなどを説明した」
朝日社説は「ならばこの頃には、問題が単なる統計調査のルール違反にとどまらないことを厚労省は認識できたはずだ」と指摘し、「雇用保険や労災保険の過少支給の可能性に気付いたのは年末の27日になってからだと言うが、本当なのか。この間の対応に問題はなかったのか。引き続き解明が必要だ」と主張する。
統計不正問題は、安倍政権批判を続ける朝日社説の絶好の攻撃材料となっている。それだけ問題が大きく、根深いからである。