部下に対する暴言問題で辞職に追い込まれた泉房穂兵庫県明石市長。辞職直前、異例なことにメディアでは泉氏のパワハラを擁護する声が強まっていた。なぜ奇怪な現象が起きたのか。泉氏とは司法修習生同期の橋下徹氏がずばりと解明する。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(2月5日配信)から抜粋記事をお届けします――。
記者会見で涙を拭う兵庫県明石市の泉房穂市長=2019年2月1日、明石市役所(写真=時事通信フォト)

最初は「火付けてこい」の暴言で批判の嵐だったが……

兵庫県明石市の泉房穂市長が2月1日に辞職を表明し、2日付で辞任した。

今から1年半以上前に、市内の道路工事が遅れていることに関して、市長が部下である担当職員に対し暴言を吐いた。その様子が録音されていたものが、あと数カ月後に市長選挙が近づく今、公にされた。

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第一報として全国的に報道されたのは、暴言の部分だ。その際、市長に対して猛批判の嵐が吹いた。

しかしその後、後追いで、暴言以外の部分も報道されるようになった。特に最後の、なぜ暴言に至ったかの部分が報道されるようになってからは市長擁護の声も強くなってきた。

泉さんと僕は司法修習生の同期。49期生。司法試験合格後、裁判官、検察官、弁護士になる前に司法研修所で研修を受けるんだけど、その同期だった。司法試験に合格する年齢には幅があるから、同期であっても同い年とは限らない。僕らの頃は2年間の研修だったけど、今は1年間ほどに短くなったらしい。その分は法科大学院でしっかり勉強して来いという趣旨。

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僕は中学、高校とラグビーをやっていたので、司法研修所でもラグビー部に参加した。そこに同じく参加していたのが、泉さんなんだ。研修所内のグランドでほんとに軽い練習をして汗を流したり、近くの居酒屋や寮内で飲み会をやったり。そういや、自分たちでラグビージャージ(ユニフォーム)を作ったりもしたね。修習生が胸元に付けるバッジは、赤青白の色を基にしたものなので、その色を基調にジャージを作り、確かジャージの胸元に修習生バッジと同じ柄を刺しゅうするという嫌味なこともやっていた気がする。

泉さんは、僕より6つ年上で、当時から熱血感溢れる人。お世話役も凄くする人だった。研修所のクラスは違ったので、泉さんの日々の生活状況までを知っていたわけではないけど、研修所内にできる人権活動サークルなんかでも積極的に活動していたことは耳にしていた。ラグビーチームでもチーム内のお世話役を積極的にしていた。僕なんか、自分のことしかやらないタイプだったので、泉さんて根っから他人のために働く人なんだな、と当時から感心していたのを覚えている。

ただ道徳家というわけではない。まあ典型的な関西のおっちゃん。勢いで押していくんだけど、ちょっと走り過ぎるところがあるなとも感じていた。