「とにかく実行して結果を出す。その情熱を、大阪の政治に向けてほしい」
「橋下さんの人生の一部を大阪に使ってくれないかな」
2007年の11月頃、大阪の帝国ホテルの会議室で、テーブルの上のコーヒーを挟みながら、堺屋太一さんにそう言われたのが、僕が政治家人生を歩むきっかけだった。
メガネの奥の優しい眼は、その時から最後にお会いした時までずっと変わらなかった。眼は優しいんだけど、堺屋さんの大阪再生についての話は、水蒸気が沸き立つほど、魂のこもった熱いものだった。
(略)
当時、僕はテレビ出演の仕事もしており、適当なアンちゃん(兄ちゃん)スタイルでやっていた。堺屋さんの世代には眉をひそめられることが多かったと思う。そのスタイルを基に、僕の弁護士活動も適当なものだと評する人たちが結構いた。
しかし堺屋さんは違う。どこでどのように調べられたのか分からないが、僕が弁護士活動で最も重視している点を的確に指摘された。
「橋下さんは、グダグダ考えて何もしないよりも、とにかく実行することを重視していますよね。そして結果を出すためには、従来の考え方、業界の考え方、世間の考え方に囚われない奇想天外な方法も気にせず採る。それは、依頼者の利益になる結果を必ず出すという情熱、パッション、執念に基づいている。それを大阪の政治でそのままやってもらいたい」
(略)